Changellyの手掛けるdeFIRE プロジェクトのホワイトペーパー翻訳しました!

 

注目しているdeFIREプロジェクトのホワイトペーパーの翻訳をお手伝いさせていただきました。コミュニティ翻訳版ということで公開しても良いという許可を得ましたので皆さまにシェアします。

普段カルダノローンチパットのOccamは結構ほってたのですが、苦手意識のあったDEX・スワップ領域について改めて勉強をする良い機会になりました。


こちらのリンクからPDF版ダウンロードできます。

https://drive.google.com/file/d/1v7QEi3Vwlzisi2eg7H12fQFnmd4hTby1/view?usp=sharing

以下、本文もはっつけときます。
レイアウトの関係でPDFのほうが読みやすいと思います。


はじめに

ここ1年は世界各地の出来事や資本市場の不安定性への注目が高まった事により、 ブロックチェーン業界の活動が爆発的に増加し、デジタル資産市場全体がこれまでで 最も強気なムードを示した期間となりました。ブロックチェーンプロトコルの市場の勢 いが上下している間も、実は、とあるイノベーションの勢いは変わらず衰えることがあ りません。それは過去1年で大きく成長を遂げ、いまや身近なものとなったブロック チェーン業界における分散型金融、つまり「DeFi(Decentralized Finance)」です。 ほんの一握りのプロジェクトから成長し始めたこの業界は、今やいくつもの数のDeFi プロジェクトが毎日作成されており、数十億ドル相当の資産がさまざまな「オンチェー ン金融」プロトコルにロックされています。

しかし、分散型技術革新フェーズが急速に発展しているにもかかわらず、ブロック チェーン市場には依然として非常に非効率的なコンポーネントがあります。これはお そらく分散型取引のボンディングカーブと流動性マイニングが、中央集権型のオー ダーブックとマーケットメイカーのリベートに取って代わった取引所の事業領域で最も 目立つでしょう。その影響で新たに、ユーザーの固定費上昇と、最善の取引執行とい う概念を考案しなければならないという問題をもたらしました。

その結果、この業界は新たな分岐点に到達しました。多くの一般的な個人ユー ザーだけでなく、大規模な機関投資家によるオーダーフロー・オリジネーターがどの 取引所を使用するか、またユーザーに提供するかを決定することが大きな問題解決 の突破口となります。既存のソリューションの制限によって課せられる執行の品質と 速度に対する保証がなされないため、多くのプレーヤーがDeFiから遠ざかってしま い、機関投資家による大きな流動性がオンチェーンに流れなくなってしまっています。 これは単にどれか1つサービスプロバイダを選択すれば良いというだけの問題では ありません。実際に利用する取引所を選ぶときには、さまざまな異なる要素を考慮し て決定する必要があります。例えば、取り引き、ネットワーク料金、資産の流動性、プ ロトコルインセンティブなどが含まれます。その複雑性は、ネイティブのクロスチェーン 相互運用性がないと仮定して、いくつかの機能的なレイヤ1ネットワークが存在する 場合に倍増します(これは今日実際にあるケースです)。この複雑な状況を考慮して 決定を下すためにはドメインの専門知識、重厚なインフラストラクチャが必要であり、 総合的に考えてもこれらのプロセスは非常に重要なものとなります。

では、どのような解決策があるでしょうか?過去10年に渡るこの事業領域で培っ てきた専門知識を活用して、より効率的な新しい取引所を1から構築する方法でしょう か?または、ルーティング・インフラストラクチャを構築することで、機関投資家と個人投資家両方の要求に応えられるような機能を備えた、視覚的およびプログラム的にも シンプルなインターフェイを通して複数の取引所から「一番安く、最も深い」流動性に アクセスできるようにする方法でしょうか?deFIREはその両方を実現します。

Cardanoエコシステムの開発を目的としたフィンテックのトップチームである Occam.FiがChangellyと提携してインキュベートしたdeFIREは、CardanoDeFiエ コシステムのユーザーに最適なプロセス執行と流動性を提供することを目的としています。

Changelly2015年以来、この分野のリーダーでありイノベーターでもあります。 ある意味、ChangellyDeFi業界が存在する前から、クロスチェーンスワップ決済の ビジネスに携わっていると言えます。現在において、この分野で最も人気のあるクロ スチェーン流動性エンジンを構築しています。実際、暗号資産ウォレットを使用する際 にトークンスワップがどこで実行されるかわからないことがあるかと思いますが、たい ていの場合はChangellyです。350を超えるAPIパートナーや、100を超えるウォレッ ト導入、最良の取引価格、数千BTC相当の1日の平均ボリュームを備えています。そ してその背景には、何百万ものアクティブユーザーがいます。

deFIREの目標は、オーダー決済のクロスチェーンの性質を維持しつつ、完全に 分散化されたオーダー執行エンジンを構築し、コスト効率の良い方法でオーダーを行 うことです。分散型オーダールーターとDEXを構築することに決め、そして入り組んだ トークノミクス設計を加えました。最初にイーサリアム、BSCCardanoで構築するこ とにしました。

deFIREプラットフォームとプロトコル自体について掘り下げる前に、取引所アグリ ゲーターについて詳しく見ていきましょう。

取引所アグリゲーター| Exchange Aggregators

分散型取引所(DEX)アグリゲーターは、さまざまなDEXから流動性を得るため、単 一のDEXを使用した場合に比べ、ユーザーはより良いトークンスワップレートを得ら れます。

DEXアグリゲーターの提供価値とは、可能な限り短い時間で最適なオーダー執 行を可能とした上で、ガス(取引手数料)消費量を最適化することにあります。

DEXアグリゲーターは複数のボンディングカーブ、スワップコスト、トークン価格全 体のスリッページを最適化するスタックを構築することによってユーザーにより効率的 なスワップレートを提供します。実際、複数のDEXを介して流動性を分割したスワップ は、正しく構築されている場合、単一でどの取引所でスワップするよりも良い価格を ユーザーに提供します。取引価格の良さは最も重要ではありますが、オーダールーターは価格変動の影 響からユーザーを保護したり、取引が失敗する可能性を減らすオプションや、フロント ランニングを防止する多数のメカニズムを含むオプションも提供します。

しかし、このように明らかに多くの利点があるにもかかわらず、高品質なDEXアグ リゲーターはわずかな数しか存在していません。そしてdeFIREは現在、この分野の ライバルがほとんど実装していない低遅延の分散型オーダールーターを採用してお り、成長するCardanoエコシステムに向けた機関投資家向けオーダーフロー・オリジ ネーターや、個人投資家ネットワークにその機能を提供します。

取引執行面では、オンチェーン流動性の一番深い既存プールにつなげつつ、さら には独自のプールも併せて構築します。

deFIREの詳細

このセクションでは、deFIREの仕組みとコンポーネントの概要を簡単に説明します。 特に、分散化された中で指値注文がどのように作成されて処理されるか、そしてス マート・オーダー・ルーティングアルゴリズムの仕組みを取り上げます。

指値注文機能| Limit Orders

指値注文は、以下を含む一連のパラメーターを指定することで作成できます。

a) ベース通貨(Base currency); b) クオート通貨(Quote currency); c) ボリューム(Volume);
d) リミット価格(Limit price);
e) (任意)有効期限

ルーティング| Routing

注文の送信先はユーザーが指定する単一の取引所か複数の取引所(ユーザーが決 めた数、または全て)を指定できます。注文がルーティングされた際に特定の優遇措 置が受けられる取引所を一つまたは複数選択できます(下記の優先順位付けの保 証を参照)。後者の場合、アルゴリズムがサイズに応じて注文を分割して複数の取引 所に送るか、その注文に対する最適な執行条件を持つ取引所を見つけます。

FOK(フィル・オア・キル)注文| Fill-or-Kill

トレーダーは注文が全量に満たなかった場合、キャンセルするかどうか選択できま す。たとえば注文量の30%(仮に90%であっても)しか実行されなかった場合、取引 の数に関わらず注文をキャンセルすることができます。(Fill-or-Killという注文に Time-in-Force(有効期限)オプションが適用されます。)

ライト/ダークオーダーブック| Lit and Dark Books

さらに、テクノロジーの性質上、注文情報はオンチェーンに保存されます(手数料はト レーダー負担)。トレーダーはその注文情報を公開(解析可能)にするか非公開(ハッ シュ)にするかを選択できます。注文を非公開にすることを選択したトレーダーは事実 上一種のダークプールを作ることになるので、これは金融機関からの需要の高いア イスバーグ注文のような仕組みに当たります。

フロントランニングの防止| Front-Running Prevention

分散型取引所でのフロントランニングを防ぐために、各取引のガス代のしきい値が設 定され、このしきい値よりも高い値で注文を送信することはできなくなります。しきい値 は、いくつかの独自のアルゴリズムにより、1日を通して高頻度で計算および設定さ れます。

優先順位付けの保証| Guaranteed Prioritization

注文執行における優先順位付けの保証を可能にするアルゴリズムが導入されていま す。前項で解説したしきい値が高くなると、オーダールーターによって指定のDEXに ルーティングされたすべてのオーダーが優先的に執行されます。

オーダールーティング(Order Routing)の仕組み

コア

一般的にSOR(スマートオーダールーティング)アルゴリズムは、比較的大きな注文 を複数の注文に分割し、一連の「ホワイトリストに登録された」取引所に送信すること で、注文の実行品質を最適化することを目的としています(ホワイトリストの定義につ いてはトークノミクスのセクションを参照してください)。ルーターは、流動性の観点か ら最も有利な取引条件を提示する取引所を算出します(ガス代も考慮されます)。本 質的に、SORのコアは次のように機能します。

パラメーターと仮定:

  1. V - 注文ボリューム(サイズ);
  2. s - 注文内容;
  3. n - DEXs;
  4. 入力資産(Input asset) - 出力資産を取得するために提供される資産。
  5. 出力資産(Output asset;);

注文ボリュームVはこのように分割されます。
V0 = 0,V1 = V/s,...,Vs = V DEXにおいてs + 1が計算されます。これは各Vi の量の 入力資産からの出力資産です。n ×(s + 1)マトリクスであるMが生成されます。ここ で、行は各DEXを表し、列はボリューム間隔を表します。各DEXで、取引のガス代は ボリュームに依存しないはずなので、ガス代を表す長さをnとした配列Giが生成されま す。つまり、100,000USDCの取引におけるガス代は1,000USDCの取引と同じにな ります。

※レイアウトが崩れるため数式部分は割愛します。PDF版にて御覧ください!僕は数式よくわからない

オーダー執行品質最適化機能| Order Execution Quality Optimizer

上記の説明は、単一の資産を別の資産(ETHからUSDCなど)と取引するケースで す。ただしマルチレッグトレードも考慮すると、執行品質をさらに向上させることができ ます。例えばETHからwBTC、そして最後にUSDCへと取引する場合です。オーダー 執行品質オプティマイザ(OEQO)の仕組みは、このホワイトペーパーの補足ドキュメ ントで説明します。

トークノミクス| Tokenomics

以下のセクションでは、deFIREエコシステムのトークノミクス、特に「正しい」経済的イ ンセンティブを設定する際にCWAPトークンが果たす役割について説明します。 deFIREはその核として、超低遅延のオーダールーティング(ultra-low latency order routing)という特許技術を提供しています。堅牢な内部マッチングエンジンシステム はそのエコシステムに関わる利用者全てに、比べ物にならないほどの速さと深いクロ スベニュー流動性へのアクセスを提供します。

deFIREエコシステムとはどういったものでしょうか?その答えは、参加者と彼ら の間のトークンフロー、そしてそれぞれがdeFIREのネイティブトークンであるCWAP で何をしなければならないかを理解すれば簡単に導き出せることでしょう。準備はい いですか?それでは説明を進めていきましょう。

参加者| Actors

deFIREエコシステムの参加者は、オーダーフローとCWAPトークンに関連して定義されます。

  1. オーダーフロー・オリジネーター(Order flow originators): オーダーフローを生 み、deFIREを通して取引することを選択したエンティティです。これには大小 様々なトレーダー、あらゆる種類のブローカー、および紹介エージェントが含まれます。
  2. サードパーティのオーダー執行取引所(Third-party execution venues):これ は、オリジネーターから来たオーダーをdeFIREがルーティングするエンティティ (取引場所やサービス)のことです。簡単に言うと、これらは主にDEX(または、 将来的には他のルーターとなりうるもの)です。
  3. プールオリジネーター(Pool originators): 非許可型などの設定でサードパー ティの取引所にリストしていた資産を所有するエンティティ。DEXに資産をのせ ることは、流動性プールを開くということになります。文字通り、「プールオリジ ネーター」という名付けられます。
  4. deFIREは最良の取引を求めるトレーダーや他のオーダーフロー・オリジネー ターと、送られたオーダーに対して流動性を提供するサードパーティ取引所と の橋渡しをするソフトウェアです。

フローとCWAPトークノミクス

流動性マイニング| Liquidity Mining

CWAPのステーキングに関係なく、オーダーフロー・オリジネーターは、売買高加重 で比例配分された流動性マイニングリワード(報酬)を受け取る権利があります。分か りやすく言うと、トレーダーはdeFIREを介して注文をルーティングすることでCWAP 建てのリベートを受け取ります。

CWAPのステーキング

CWAPをステーキングすると次のことが可能になります。

  1. オーダーフロー・オリジネーターはCWAPトークンをステーキングすることに よって紹介リワードを受け取ることができます。すべてのCWAPトークン保有者 がリワード報酬を受け取る資格があるわけではないことに注意してください。こ れらのリワードの対象となるには、ある一定量のCWAPトークンをステークする 必要があります。報酬は特定のエンティティによって与えられた注文のボリュー ムと、ステークされたCWAPトークンの量によって決まります。この機能は、 サードパーティから来たオーダーフローをdeFIREプラットフォーム(自己管理 ウォレットなど)に送る人々にとても効果的です。それにより、こういったエンティ ティたちがdeFIREを利用してリワードを獲得することを実現できます。

  2. さらに、オーダーフローの供給に関係なく、CWAPをステークするとステークし たエンティティは比例して(つまり、ステークしたCWAP残高の合計と比較して誰がいくらステークしたかに比例して)日割りで取引手数料の再分配を受け取ります。

  3. deFIREは業界の成功例に習い、「HODL税(HODL tax)」を導入しています。CWAPをステークしないと小額の手数料が発生し、ステークしているすべての 人に再分配されます。このような仕組みで、長期的なステーキングにインセン ティブを持たせます。

CWAPのステーキングは以下の場合に必要となります。

  1. オーダーフローオリジネーターは、プールがオーダールーティングの対象とな るようCWAPをステークする必要があります。これに関する考え方は次のとお りです。

    i. Changellyはパートナーやアフィリエイトの幅広い繋がりを通じて、多くの オーダーフローをすばやく引き付けることができます。したがって、取引 所にとってChangellyエコシステムに参加する分かりやすい動機になりま す。
    ii. Changellyは、最も人気があり、最も流動性の高いDEXを統合させること で、システムを最初から競争力のあるものにすることができます。した がって、排他性が私たちのユーザーに悪い取引執行をもたらすことには なりません。

  2. プールオリジネーターはdeFIREを介して資産の取引をできるようになります。 ここでの仕組みは単純です。プールのオリジネーターは、deFIREによって仲介 される大規模なオーダーフローの明確な受益者となります。したがって、このエ コシステムの一部になり、受益者となるには、CWAPトークンをステーキングし ておく必要があります。

  3. ステーキングを行っているオーダーフロー・オリジネーターがdeFIREから得ら れる最も重要な機能は、価格調整に関するものではないでしょうか。正確なメ カニズムはこれから確定しますが、価格変動リスクに対する一種の保険のよう な役割となって、不利な価格変動の後に払い戻されるCWAPトークンプールが いまのところの計画されています。

エコシステム全体の見方と結論

市場インフラとしての観点からすると、deFIREは注文執行バリューチェーンの仲介 役を果たします。つまりdeFIREは取引を求める人々と、その取引を行うための環境 を提供する人々の間に価値を生み出す仲介装置と言えます。このエコシステム内のバリューダイナミクスの性質はオーダーフロー・オリジネーターから取引所へ流れると いうもので、それは取引エージェントがどこにオーダーフローを送るかによって決まり ます※1deFIREはこの選択手順をアルゴリズムで最適化し、特定のレイヤー1ネット ワーク内のより広いDeFiエコシステムに市場効率をもたらします。

上記の内容はあくまでdeFIREトークノミクスの予備的な見解に過ぎません。 deFIREが提供する価値はさらに広大です。今後数ヶ月の間に市場の流れを変える DEXを展開する予定です。実際のパラメーターは今後スマートコントラクト上で確定 し、ブログで次々と定義および調整されていく予定です。ただし、これはDeFiエコシス テムの分散化ガバナンスを目的としたdeFIRE DAOが導入されることで変更になる 可能性があります。CWAPトークン保有者がシステムパラメーターを変更するための 提案や投票を行なうことが可能となるためです。これについての詳細は、当社のプロ ダクトがメインネットでリリースされた際に提供します。

Cardanoエコシステムに対して私達がもたらす価値とは?

1. 既存の、そして今後現れるADACNTのブローカーのオーダーフローは、仲 介を必要としない取引所を手に入れることになるでしょう。Cardanoでの流動 性マイニングと安価な取引のメリットが十分に大きいと見受けられた場合、現 在他のレイヤー1ネットワークにある巨大なオーダーフローがCardanoに流れ込んできます。

2. Cardanoエコシステム用に作られた新しいブローカーは今後、最初からすでに流動性が組み込まれます。

3. Cardanoで発行された資産は、即座に超大な流動性を享受できるようになるということです。

4. Cardano上に構築されたDEXは、実際のオーダーフローへのアクセスを手に入れます。

Occam.fiチームおよびエコシステムと提携するChangellyは最も古く、最も確立 された暗号通貨ブランドの1つです。より効率的なDeFiレイヤーを構築し、Cardanoのオンチェーン流通市場の流動性を促進します。


※1オリジネーターが私たちのエコシステムに意欲的に参加できるよう、このようなトークノミクスを構築 しました。

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